敏感なウサギ

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ウサギは敏感だった。

彼は、どんな事でも激しく反応した。

鳥の羽ばたきが聞こえただけでも時速30キロで走って逃げたし、

モグラが地面から出てきたときには、3メートルはジャンプした。

いつしかそれはリアクション芸と呼ばれた。

彼の悩みは敏感すぎることである。

ある出会いが彼を変える事になる。

首からメダルを下げた熊との出会いだ。

彼の堂々たるたたずまい、余計な事を語らない大人な態度に

彼は尊敬の念を抱かざるを得なかった。

その日から、あの熊は彼の心の師匠となった。

あの人のようになりたい。

あの人のように動じないように。

そんな想いが彼を次第に変えていった。

彼は、心の師匠に似て、堂々とするようになった。

まだ、師匠には追いつけない。

さすが、メダルをもらえるだけある。

まだまだ彼の修行は続くようだ。