無個性のモグラ

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モグラは、土深く潜ろうとした。

だって、自分には鹿のような立派なツノもない。

象のようなユニークな鼻もない。

きっと僕は地味なんだ。

僕なんかは、地上にいない方がいいんだ。

そう言って、モグラは土を堀り始めた。

一堀り。さくっ。

二堀り。さくっ。

あ、あれ?

た、楽しい。

僕の手ってこういう風に出来てるんだっけ。

いいねぇ。これ。

それなら、明日筋トレして、掘るスピードアップに挑戦してみようかな。

ちょっと掘るルートも考えてみようかなぁ。

山もいいし、海沿いもいいなぁ。

彼は、いつの間にか土を掘ることに没頭していた。

個性を考えなくなったモグラは、十分に魅力的に見えていた。